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2017.1202(土)藤枝市郷土博物館 日本刀講座 第2回「日本刀ができるまで」 [藤枝市郷土博物館・文学館]

2017年12月2日(土)14:00〜
藤枝市郷土博物館の「文学館 講座学習室」でおこなわれたのは、
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日本刀講座 第2回「日本刀ができるまで」です。



この日、進行を務めるのは、第1回の講師だった「齊藤慎一」先生。
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この日の講師は、現代刀匠で、
富士宮市在住の刀匠「内田義基」さん(写真左)と、
東京在住の刀匠「水木良光」さん(写真右)。
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あらかじめ、撮影とブログ掲載の許可をいただいたので、
ここに書かせていただきます。

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では、日本刀講座 第2回「日本刀ができるまで」
はじまりはじまり〜。

最初にお話しくださるのは、刀鍛冶の「内田義基」さん。
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内田さんは、1969年生まれ。富士市のご出身。
昨年4月に満を持して、富士宮市に『冨士日本刀鍛錬(たんれん)所』を開設しました。
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内田さんは最初、仏画や仏像を制作する人になりたかったそうですが、
高校時代から学んでいた古武術の16代宗家から
『お前は刀鍛冶になれ』と言われて、その道に。
石川・東京・埼玉・福井など、全国各地の刀匠のもとを訪ね歩いた末、
関西の某有名な刀匠の入門したのですが、その修行があまりにも厳しくて、
腰を痛めてしまい、1年足らずで逃げ出してしまいました。
その後で、腰のリハビリのために始めた自転車競技にはまり、
いろいろな仕事をしながら、自転車競技を続け、国体や世界大会にも出場。
「今ならもう一度やれる」との思いから、
以前の関西での修業時代に世話になった兄弟子「松葉國正」刀匠を
宮崎県日向市に訪ね、弟子入り。
4年間修業をし、5年目で資格を取得。
昨年4月に富士宮市人穴に「冨士日本刀鍛錬所」を開設、
火入れ式を行った、そうです。

さて、日本刀の「製作工程」はこちら。
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玉鋼
玉鋼潰(水減)
小割・選別
積沸
折返鍛錬
造込(皮鉄・心鉄組合)
素延
火造
鑢(やすり)・せん 荒研
土置
焼入
銘切

まずは、これが「玉鋼」。
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日本刀は、鉄鉱石ではなく、砂鉄と木炭からできるのだそうです。
「玉鋼」は、10tの砂鉄から1tしか取れない。
木炭は12t必要。
「玉鋼」はたたら製鉄で作られる。
他には、建築金物も使う。
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京都の聖護院の御神殿の角釘など。
繰り返し鍛錬した釘は、このように裂けてる。
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「玉潰」棚鋼を加熱鍛錬して6〜10mmの厚さにする。
「水減」打ち平めた玉鋼を焼き入れする。
「小割」 玉鋼を小割にする。選別する。
「積沸」皮鉄に適した素材を選び、梃子皿の上に積み重ねる。火床に入れる。
「折返鍛錬」十分な温度になったら、取り出して大鎚で鍛打する。
 思いの長さまで伸ばしたら、鏨(たがね)を入れて曲げる。
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これが途中まで曲げたところ。
鋼の中の不純物を除き、均質で粘りのある素材にするために
必要な回数を折り返す。
これを繰り返すことで無数の層ができ、
折れない名刀ができあがる。
「鉄と人間は時代に応じて悪くなる」などと言われるが、
実際、鎌倉時代にどうやっていたのか、やり方わからない。
赤松の松炭 木炭を使う、コークスはダメ!
折り返し鍛錬切れ目がなくなるまで15~20回繰り返す。
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皮鉄と心鉄を組み合わせて、造込む。
火床に入れ加熱・鍛打し、心鉄と皮鉄を鍛着する。
「素延」茎(なかご)や切先の形を整形し、必要な長さにする。
基準を作る。
「火造」金槌を使って、刃を薄く打ち出し、
鎬を立て反りの浅い刀の形を作る。
姿が大事。
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内田さんは、国宝「狐ヶ崎為次」がお好きだそうです。
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外装は後からだから、どんな形でも大丈夫と思ってはいけない。
刀身がするっとはいって、出しやすいように。
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すると鞘もシンプルに美しくできる。

この大槌を振るうので、体力がいる。
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こちらが登録証の見本など。
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東京都からお越しの刀匠「水木良光」さん。
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刀匠の名門「吉原一門」に師事。
海外でも評価が高い、東京都無形文化財保持者の「吉原義人(よしんど)」さん、
葛飾区指定無形文化財の「吉原義一(よしかず)」の両氏から指導を受けたそう。
師匠は、 自由で、トライアンドエラーを見守る人。
そこで、内田さんとも出会ったのだそうです。

水木さんは、昨年の冬に、
本能寺の変で織田信長とともに焼失したなどと伝えられている
幻の名刀「薬研藤四郎」(やげんとうしろう)を復活させたそうです。
そのことを紹介する、このような記事が出ています。

その後の行程
「焼入」刀身を水中で急冷する。
「鍛冶押し」刀身全体を荒砥で研ぎ、刃を付け形を整形していく。
「荒研」
「下地研ぎ」
「仕上げ研ぎ」
「鎺」を作る
「鞘」の製作

材料づくり 一番大事
形作り
焼き 完成
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日本刀造りは、材料造りが半分以上。
次に形作り。
最後に刃文。これはほんの一部。
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日本刀は、材料の精錬からやらなくてはいけない。
玉鋼が個性豊か、悩ましい、美しさも出る
国宝約1100件のうち、刀(外装含む)は約120件、
陶磁器は、全部で8件、国産の物は、2件。
刀剣は、美術品。

以下は、質問コーナーで刀匠がお答えになった時のメモ。
専門用語が並ぶ内容で、素人のぱらぽんは
理解しきれていないのがバレバレで、すみません。
防備録メモと言うことでお許しください。

玉鋼は、14~15回折り返され、数万層になる。
粘り強い。一文字鍛錬と十文字鍛錬がある。
薄い層状
刃紋 姿
小板目肌は、折り返し数少ない。
柾目肌を特徴とするのは、保昌派。
玉鋼をせんべいのように潰す
水に入れて、焼きを入れる

銘切
鎺師
鞘師
大鍛冶

ヨルダンの刀匠の人は、引いて使っていた。

土置きの土 は、秘伝
早く冷えて欲しいところは薄く
ゆっくり冷えて、柔らかくしたいところは厚めに塗る。

備前伝
うつりはどのような時に?

もち鉄の鍛錬は大変?
材料の調達が大変

焼入れの瞬間の気持ちはどんな?
・魂を込めながら、焼き割れができないでくれと、お祈りする。

・期待と不安の半々
・結果が全て
・集積の全て
・通信簿をもらう感じ

最後に、持ってきてくださった刀鍛冶の道具を見せてくれました。
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刀の数々。
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皆さんが道具の重さや感触を確かめられるように、
実体験させてくださいました。
とても貴重な時間でした。

登録証や鑑定書など。
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いろいろあります。
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「内田義基」刀匠、「水木良光」刀匠、
いろいろと、ありがとうございました。
いつか、刀鍛冶の工房を見学してみたいと思いました。

次週は、いよいよ刀研師・萩光明先生の講座です。

第3回「日本刀の研磨とその魅力」 講師/刀研師・萩光明氏
12月10日(日曜日) 14時~15時30分
*刀研師 萩光明先生の講座は、まだ参加することが可能です。
興味を持たれた方は、下記にお申し込みください!

ところ/文学館 講座学習室
定員/80名
受講料/大人300円・中学生以下100円
申込み/藤枝市郷土博物館へ
・TEL/054−645−1100
・FAX/054−644−8514
・Email/muse@city.fujieda.shizuoka.jp

徳川家康公と上杉謙信公も喜んだ、
萩先生直伝の「とろろ」話は、こちらで。
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