2018.0701(日)第2回城郭講演会「城をイラストで復元する」@藤枝市郷土博物館・文学館 [藤枝市郷土博物館・文学館]
2018年6月16日(土)〜7月29日(日)藤枝市郷土博物館・文学館では、
企画展「駿河田中城と香川元太郎 城郭原画展 東日本編」が行われています。
この展示もさることながら、全4回の「城郭講演会」も人気です。
この日は、城郭復元イラストレーターの「香川元太郎」先生の講演会!
第2回 城郭講演会「城をイラストで復元する」
14:00〜 いよいよ始まります。
藤枝市郷土博物館・文学館学芸員、海野さんのご挨拶。
先生の著作のご紹介です。
さあ、始まりますよ。
城郭復元イラストレーター「香川元太郎」先生です。
先生のお仕事は、お城関係だけでなく、
学校の教科書のイラストや、
迷路の絵本もたくさんあるそうです。
くわしくは、先生のHPをご覧ください。
こちらです。
【復元イラストで表現するのにはどんな意味があるのでしょう?】
数々の資料などをもとに、全体の地形や当時の姿などを表すことができます。
今では、見ることができないものを見せることができるのが、
復元イラストのいいところです。
まず、これは何城でしょう?
「安土城」琵琶湖の東湖畔にありますが、復元はされていません。
明治期には湖だったところが、現在では田んぼになっています。
先生のHPでは、
大手となる南側からの鳥瞰。
安土城は、それまでにない大規模な石垣・瓦を用いた
城郭建築・天守(天主)を持つ事が画期的だった。
とあります。
次は、何城でしょう?
「姫路城」です。
このような構造図は、イラストでなくてはなくては表現できませんね。
実際に見学できるところは、半分くらいなんですって。
この絵は、香川先生が30代の頃のお仕事、
「姫路城」の解説図としてよく使われるそうです。
先生のHPによると、
大天守と3つの小天守を渡り櫓で結ぶ構成は「連立式天守」と呼ばれる。
中庭には2階建ての台所もあり、その構造は極めて複雑。
解体修理報告書と現地取材を資料として描いているが、
香川の城イラストの中でも、最も制作に時間がかかったもの。
とのことです。
今度は、このお城です?
「甘崎城」です。 先生のHPより、
瀬戸内海の交通や信仰の中心だった大三島の東岸に浮かぶ小島。
戦国時代には村上水軍の海賊城が築かれていたが、
藤堂高虎によって改修され、今治城の支城となっていた。
だそうです。
最後は、このお城です。
家光時代の「江戸城」天守です。
先生のHPでは、
北から見た寛永期天守。
江戸の町を火の海にしたという明暦の大火で、御殿などと共に焼失。
その後天守は再建されなかった。
と紹介されています。
【その復元イラストをどのようにして描いているのか?】
「復元イラスト制作 下絵編」
「山中城」を例に解説してくださいます。
「山中城」は、先生のHPによると、
戦国時代の城で、羽柴秀吉による小田原攻めの際、
北条方の最前線基地として、東海道を塞ぐように築城された。
障子堀が多用され北条流築城の粋を集めた城だったが、
激戦の末、圧倒的大軍の前に1日で落城した。
ですと。
地形図と縄張図を用意します。
ライトテーブルに50m間隔のメッシュ(碁盤目)を敷きます。
地図を重ねます。
地図の各部に標高を記入します。
縄張図を参考に、下絵を描いていきます。
下絵ができました。
スキャナーに取り込んで、色分け作業をします。
山は緑で塗り、建物などは赤で印を。
下絵が完成したら、メールで画像を送り、
監修を受けるそうです。
修正があれば、ここで直します。
彩色をして、でき上がった「復元イラスト」が、こちら。
その彩色などの方法の説明は、こちらで。
「復元イラスト制作・本画編」
「朝比奈城」を例に解説してくださいました。
画用紙をマスキングテープで縁取ります。
下地絵具(ジェッソ)を塗った紙に、エアブラシで黄土色の地面色を吹き付けます。
土のざらつき感が出るように、粒子を調整します。
こちらが、下絵です。
その上に画用紙を重ねます。
これから、線描きを始めます。
下絵を見ながら、シャープペンシルで、線描きしていきます。
描けました。
シャープペンシルの線が触っても汚れないように、
定着液(メディウム)を吹き付けます。
エアブラシで、緑を吹き付けます。
筆で地面を薄茶色に塗ります。
筆で木を一本一本塗ります。
日本画の絵画的技法を使って、描いていきます。
ミリペンで建物や柵などを描いていきます。
筆で影を入れて、立体感を出していきます。
テープを剥がしてできあがりです。
【以前描いたイラストを変更することがあるのか?】
「時代考証による イラストの変化」
「大阪城」
下:90年代中頃(30代)に制作
右上:2011年に制作
左上:2016年に制作
発掘された状況で変わる。
3枚とも同じ「大阪城」本丸だが、描く向き、範囲が違う。
下のは、掲載されるページの都合で、上下をなるべく縮まなくてはならなかったそう。
「中井家」の「本丸図」
「本丸図」のいろいろ
「大坂冬の陣配陣図」
発掘された障子堀
発掘を反映させたイラストになった。
左の真ん中に「障子堀」を盛り込んだ。
「真田丸」
異なる資料を用いると、イラストも変わる。
2000年制作の「真田丸」
繰り返しいろいろなところで使われた。
これを描いた時の資料はこちら。
2015年制作の「真田丸」
2016年の大河ドラマで注目を浴びた。
その時に参考にした資料。
左上:浅野文庫諸国古城之図
左下:極秘諸国城図(松江市)
右: 国土地理院
この3枚の地図を元に、描かれたのが、右下の「真田丸」
左下に、「大坂冬の陣」屏風からヒントを得た、塹壕を描いた。
「姫路城」池田時代
「姫路城」江戸中期
【調査成果によって修正することもある】
例:「諏訪原城」
過去に描いた「諏訪原城」
左上:武田時代を想定
右下:徳川時代を想定
しかしその後、新たな調査結果から、異なる解釈が…。
2017年に新たな調査成果を踏まえて制作
この行列は「今川氏真」のものと考えていた。
なので、「赤鳥」の旗印にした。
が、その後の調査成果により、
大手曲輪が完成し、土塁もあった。
二の曲輪、土塁も広げた。
となると、時代は「徳川家康」の時代だ!
というわけで、直すことに!!
どうするのか?
絵具で塗りつぶし、
新たに描き直します。
できあがり!
全体図です。
本当に大変なお仕事だな〜と思いました。
でも香川先生は、日本画の勉強をしていたので、
修正する技術のノウハウがあるので、綺麗に直せちゃうのだそうです。
最近では、デジタルで描かれる作家さんもいるそうです。
2018年6月に発行された著書「日本の城」は、
すごい売れ行きで、増刷が決まったそうです!!
おめでとうございます。
貴重な初版本を買わせていただきました!
先日購入の「山城ガイド」とともに、サインをしていただきました。
スタンプは、迷路になっています!!
香川先生、ありがとうございました。
藤枝市郷土博物館・文学館の
企画展「駿河田中城と香川元太郎 城郭原画展 東日本編」
7月15日(日)には、「田中城本丸櫓の建築模型」ワークショップ。
7月21日(土)には、「信長 天下布武のペーパークラフト」
の体験講座がありますよ。
企画展「駿河田中城と香川元太郎 城郭原画展 東日本編」の
展示の概要は、こちら。
展示の様子は、こちら。
「諏訪原城」の模型と原画も見られる「島田市博物館」の展示、
概要はこちら。
展示内容は、こちら。
春風亭昇太師匠の「城の魅力まるわかりトークショー」は、こちら。
チケットは、だいぶ少なくなってきたようです。
行きたい方は、チケットの手配をお早めに!!
藤枝市郷土博物館と島田市博物館との連動企画!!
チラシの裏側の「来館証明スタンプ」をそれぞれに押してもらうと、
2館目に行ったところで、城郭原画のオリジナル記念品がもらえます!
それは何?
それはもらってみてのお楽しみ!
ぜひ、両館にお出かけして、2館のスタンプをもらって、
素敵な賞品をゲットしてください。
企画展「駿河田中城と香川元太郎 城郭原画展 東日本編」が行われています。
この展示もさることながら、全4回の「城郭講演会」も人気です。
この日は、城郭復元イラストレーターの「香川元太郎」先生の講演会!
第2回 城郭講演会「城をイラストで復元する」
14:00〜 いよいよ始まります。
藤枝市郷土博物館・文学館学芸員、海野さんのご挨拶。
先生の著作のご紹介です。
さあ、始まりますよ。
城郭復元イラストレーター「香川元太郎」先生です。
先生のお仕事は、お城関係だけでなく、
学校の教科書のイラストや、
迷路の絵本もたくさんあるそうです。
くわしくは、先生のHPをご覧ください。
こちらです。
【復元イラストで表現するのにはどんな意味があるのでしょう?】
数々の資料などをもとに、全体の地形や当時の姿などを表すことができます。
今では、見ることができないものを見せることができるのが、
復元イラストのいいところです。
まず、これは何城でしょう?
「安土城」琵琶湖の東湖畔にありますが、復元はされていません。
明治期には湖だったところが、現在では田んぼになっています。
先生のHPでは、
大手となる南側からの鳥瞰。
安土城は、それまでにない大規模な石垣・瓦を用いた
城郭建築・天守(天主)を持つ事が画期的だった。
とあります。
次は、何城でしょう?
「姫路城」です。
このような構造図は、イラストでなくてはなくては表現できませんね。
実際に見学できるところは、半分くらいなんですって。
この絵は、香川先生が30代の頃のお仕事、
「姫路城」の解説図としてよく使われるそうです。
先生のHPによると、
大天守と3つの小天守を渡り櫓で結ぶ構成は「連立式天守」と呼ばれる。
中庭には2階建ての台所もあり、その構造は極めて複雑。
解体修理報告書と現地取材を資料として描いているが、
香川の城イラストの中でも、最も制作に時間がかかったもの。
とのことです。
今度は、このお城です?
「甘崎城」です。 先生のHPより、
瀬戸内海の交通や信仰の中心だった大三島の東岸に浮かぶ小島。
戦国時代には村上水軍の海賊城が築かれていたが、
藤堂高虎によって改修され、今治城の支城となっていた。
だそうです。
最後は、このお城です。
家光時代の「江戸城」天守です。
先生のHPでは、
北から見た寛永期天守。
江戸の町を火の海にしたという明暦の大火で、御殿などと共に焼失。
その後天守は再建されなかった。
と紹介されています。
【その復元イラストをどのようにして描いているのか?】
「復元イラスト制作 下絵編」
「山中城」を例に解説してくださいます。
「山中城」は、先生のHPによると、
戦国時代の城で、羽柴秀吉による小田原攻めの際、
北条方の最前線基地として、東海道を塞ぐように築城された。
障子堀が多用され北条流築城の粋を集めた城だったが、
激戦の末、圧倒的大軍の前に1日で落城した。
ですと。
地形図と縄張図を用意します。
ライトテーブルに50m間隔のメッシュ(碁盤目)を敷きます。
地図を重ねます。
地図の各部に標高を記入します。
縄張図を参考に、下絵を描いていきます。
下絵ができました。
スキャナーに取り込んで、色分け作業をします。
山は緑で塗り、建物などは赤で印を。
下絵が完成したら、メールで画像を送り、
監修を受けるそうです。
修正があれば、ここで直します。
彩色をして、でき上がった「復元イラスト」が、こちら。
その彩色などの方法の説明は、こちらで。
「復元イラスト制作・本画編」
「朝比奈城」を例に解説してくださいました。
画用紙をマスキングテープで縁取ります。
下地絵具(ジェッソ)を塗った紙に、エアブラシで黄土色の地面色を吹き付けます。
土のざらつき感が出るように、粒子を調整します。
こちらが、下絵です。
その上に画用紙を重ねます。
これから、線描きを始めます。
下絵を見ながら、シャープペンシルで、線描きしていきます。
描けました。
シャープペンシルの線が触っても汚れないように、
定着液(メディウム)を吹き付けます。
エアブラシで、緑を吹き付けます。
筆で地面を薄茶色に塗ります。
筆で木を一本一本塗ります。
日本画の絵画的技法を使って、描いていきます。
ミリペンで建物や柵などを描いていきます。
筆で影を入れて、立体感を出していきます。
テープを剥がしてできあがりです。
【以前描いたイラストを変更することがあるのか?】
「時代考証による イラストの変化」
「大阪城」
下:90年代中頃(30代)に制作
右上:2011年に制作
左上:2016年に制作
発掘された状況で変わる。
3枚とも同じ「大阪城」本丸だが、描く向き、範囲が違う。
下のは、掲載されるページの都合で、上下をなるべく縮まなくてはならなかったそう。
「中井家」の「本丸図」
「本丸図」のいろいろ
「大坂冬の陣配陣図」
発掘された障子堀
発掘を反映させたイラストになった。
左の真ん中に「障子堀」を盛り込んだ。
「真田丸」
異なる資料を用いると、イラストも変わる。
2000年制作の「真田丸」
繰り返しいろいろなところで使われた。
これを描いた時の資料はこちら。
2015年制作の「真田丸」
2016年の大河ドラマで注目を浴びた。
その時に参考にした資料。
左上:浅野文庫諸国古城之図
左下:極秘諸国城図(松江市)
右: 国土地理院
この3枚の地図を元に、描かれたのが、右下の「真田丸」
左下に、「大坂冬の陣」屏風からヒントを得た、塹壕を描いた。
「姫路城」池田時代
「姫路城」江戸中期
【調査成果によって修正することもある】
例:「諏訪原城」
過去に描いた「諏訪原城」
左上:武田時代を想定
右下:徳川時代を想定
しかしその後、新たな調査結果から、異なる解釈が…。
2017年に新たな調査成果を踏まえて制作
この行列は「今川氏真」のものと考えていた。
なので、「赤鳥」の旗印にした。
が、その後の調査成果により、
大手曲輪が完成し、土塁もあった。
二の曲輪、土塁も広げた。
となると、時代は「徳川家康」の時代だ!
というわけで、直すことに!!
どうするのか?
絵具で塗りつぶし、
新たに描き直します。
できあがり!
全体図です。
本当に大変なお仕事だな〜と思いました。
でも香川先生は、日本画の勉強をしていたので、
修正する技術のノウハウがあるので、綺麗に直せちゃうのだそうです。
最近では、デジタルで描かれる作家さんもいるそうです。
2018年6月に発行された著書「日本の城」は、
すごい売れ行きで、増刷が決まったそうです!!
おめでとうございます。
貴重な初版本を買わせていただきました!
先日購入の「山城ガイド」とともに、サインをしていただきました。
スタンプは、迷路になっています!!
香川先生、ありがとうございました。
藤枝市郷土博物館・文学館の
企画展「駿河田中城と香川元太郎 城郭原画展 東日本編」
7月15日(日)には、「田中城本丸櫓の建築模型」ワークショップ。
7月21日(土)には、「信長 天下布武のペーパークラフト」
の体験講座がありますよ。
企画展「駿河田中城と香川元太郎 城郭原画展 東日本編」の
展示の概要は、こちら。
展示の様子は、こちら。
「諏訪原城」の模型と原画も見られる「島田市博物館」の展示、
概要はこちら。
展示内容は、こちら。
春風亭昇太師匠の「城の魅力まるわかりトークショー」は、こちら。
チケットは、だいぶ少なくなってきたようです。
行きたい方は、チケットの手配をお早めに!!
藤枝市郷土博物館と島田市博物館との連動企画!!
チラシの裏側の「来館証明スタンプ」をそれぞれに押してもらうと、
2館目に行ったところで、城郭原画のオリジナル記念品がもらえます!
それは何?
それはもらってみてのお楽しみ!
ぜひ、両館にお出かけして、2館のスタンプをもらって、
素敵な賞品をゲットしてください。
2018-07-01 18:10
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