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第78回企画展「漆工芸家関野晃平と伊久美の空」@島田市博物館 [ヒストピア島田]

2019年6月21日(金)島田市博物館の
第78回企画展「漆工芸家関野晃平と伊久美の空」を観に行きました。

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島田市ゆかりの漆工芸家「関野晃平」の作品展です。
「関野晃平」は、神奈川県藤沢市出身の漆工芸家で、
人間国宝「黒田辰秋」を師として漆器制作を始めました。
その後独立し、晩年には島田市伊久美の地に居を移し、
亡くなるまで制作を続けたそうです。
(2014年島田市にて没(享年70歳))。

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生前は、作品を手にした人が生活の中で“使う”ことを望んで制作に励み、
その誠実で品のある仕事は、随筆家「白洲正子」の目にも留まりました。
今回の企画展では、螺鈿や拭漆など様々な技法で作られた作品を展示し、
島田市ゆかりの漆工芸家「関野晃平」とその作品の魅力を紹介しています。
柔らかさと鋭さを併せ持つ独特の漆の世界を、ぜひ、ご覧ください。

学芸員に伺いましたが、そんなすごい方が伊久美にいらしたとは、
地元の方にも、あまり知られてなかったそうです。
ご本人のご希望通り、個人蔵のものは、ずっと使われているのだとか。
塗りのお皿に、梨が盛られているところ、
螺鈿のお重箱におせち料理が詰められているところ、
など想像してみましたが、
自分のお料理を盛るのには、勇気がいりそうでした(笑)

東京のギャラリーなどでは、作品をよく観てもらうように、
余分な説明書きなどは掲げないことが多いのだそうですが、
そこは、地域に根付いた島田市博物館!
漆というものは、どういうものなのか、
その採取方法から、作業工程まで、
パネルや工程見本などで、くわしく説明してあります。
加工をする前の板や、豆鉋など職人の道具たち、
フォルムを導くための治具なども。

その辺にありそうなボール紙に、引かれた線で作られた治具は、
形を導く型紙のようなものですが、私自身、
ものづくりをするときに、よく作ります。
「治具が大事なんだ!」というのは、技術屋だった夫が
よく言っていたことで、
特に同じものを作る可能性があるときは、
改良の可能性も含めて、残します。
残念ながら、「関野晃平」さんは存じあげませんでしたが、
治具の美しいカーブラインや、細かな切り込みなどに、
「関野」さんの姿勢や人柄がにじみ出ているような気がして、
ご本人にお目にかかっているような感じがしました。

展示では、作品だけでなく、晩年「関野」さんが暮らした、
「伊久美」の四季の風景写真もたくさん観られます。
展示することが決まってから、季節ごとに
写真を撮り貯めていらしたのだとか。

どちらかというと、地味な展示ですが、
地元でなくてはできない展示です。
どうぞ、ご覧になってください。

「漆工芸家関野晃平と伊久美の空」
会期:2019年6月1日(土)~7月7日(日)
時間:9:00~17:00(最終入館16:30)
会場:博物館本館特別展示室
公式サイトは、こちら
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