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2020.0710(金)「人宿藍染工房」の見学をしてきました。 [ものづくりびと]

2020年7月10日(金)9:30〜 静岡市葵区人宿町にある
「人宿藍染工房」にお邪魔してきました。
公式サイトは、こちら
Facebookページは、こちら

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「NINJYO ST.=人宿町人情通り」と呼ばれるエリアの、
とある街角に建っています。

入口は、こちら。
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お話を伺うのは、駿河和染師の「伊藤喜一朗」さん。
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ぱらぽんが、最初にお目に掛かったのは2011年でした。
その時の展示の様子は、こちら
その翌年の展示は、こちら
思えば、長いお知り合いですね。

それでは、工房内を見せていただきましょう!
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大きな藍甕がふたつ。
床に埋まってなくて、屈まなくてもいいのは少しは楽なのかな?

こちらが、「藍の華」。
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染め液の表面にできる泡のようなものを「藍の華」と呼び、
その状態で藍染ができるかどうか、判断するときの目安にするそうです。
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もうひとつ甕の「藍の華」です。

植物としての「藍:タデアイ」はこちら。
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伊藤さんは、藍染の原料である『蒅(すくも)』ができるまでを学ぶために、
昨年、藍の本場徳島に9ヶ月留学してきました。
3月末に種を蒔き、4月下旬に苗を定植、
水まき、雑草取りをして生育させ、夏に収穫。
刈り取った藍は裁断機で刻み、送風機の風で飛ばすことで葉と茎に分け、
その葉をかき集めることを『藍こなし』というそうです。
秋には『寝床』と呼ばれる部屋に、乾燥させた藍の葉を敷き詰め、
水を掛けて発酵させる『寝せ込み』作業をします。
週に一度、ひっくり返す『切り返し』は、発酵が進むと
熱くなり湯気が立ち、臭いがきつくなって大変だそうです。
その後塊になった藍を機械で細かく砕く『とおし』をして、
腐葉土のような状態にしたものが「蒅(すくも)」で、
それを丸めた物が「藍玉」、藍染の主な原料となります。
そして半年寝かすのだそうです。
その間に乾燥して軽くなるので、
55〜56kgの蒅が、完成時には30kgになるそうです。
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写真中央の容器に入っている物が「蒅」。
両脇の藁の俵で保存するようです。

テーブルの上に見本がありました。
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左から、乾燥させた藍の葉、蒅(すくも)、ふすま(小麦の外皮)です。
藍染の染液を作ることを「藍建て(あいだて)」といいます。
こちらの工房の藍建ては、「天然灰汁発酵建て(てんねんあくはっこうだて)」で、
その材料は、蒅、木灰(樫などの硬木)からとった灰汁、
ふすま、石灰を入れるそうです。
くわしくは、こちらで。

先ほどの藍甕は、深さが90cmほどで、
容量は「一石五斗(いっこくごと)」、藍液の量でいうと250Lくらい。
藍液の寿命は、3ヶ月くらいなのだそうです。
さらに、もっと大きな物を染める時のために、
3倍くらいの容量の「ステンレス槽」もあります。
それがこちら。
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蓋を取ると、こんな感じです。
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他の設備もご紹介しますね。
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流しと洗濯機(二層式)。

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浴槽と呼んでいいのかしら?そしてガスコンロ。

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アイロン台。

インテリアもステキです。
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完成品の見本も。
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ちょうど、藍染ワークショップにいらしていた方がいらっしゃったので、
見学がてら、写真撮影の許可もいただきました。
白いブラウスを染めるそうです。
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体験料金は、染める物の重さで決まるので、重さを量っています。

グラデーションにしたいそうなので、
薄くしたいところは、今は染め液が飛ばないように、
ビニール袋に入れてしまっています。
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ステンレスの甕で、泳がすように染め液に浸しています。

一度絞ります。
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少し風に当てて、空気に触れさせてから、

洗います。
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茶色の液になります。これが灰汁(あく)なんですって。

染めたところが、青く発色しています。
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水がきれいになるまでゆすぎます。
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再び染め液に浸します。
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これを繰り返し、だんだん上の方まで染めていきます。
すると、何度も染液をくぐる下の方が濃く、上に向かってグラデーションになるようです。
続きは、「人宿藍染工房」のHPで掲載されるのを待ちましょう。

店内には、他にも作品があります。
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ステキですね。
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染める時の参考になる作品たちです。
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夢が広がります。
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藍染体験は、基本事前予約制です。
くわしくは、こちらで。

染める時間がない方や、藍染めグッズを購入したい方には、
販売もしています。
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いろいろな作品がありますよ。
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食品などもあります。
くわしくは、こちらで。

壁に掲げられていたのは、この型紙。
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とても精巧です。
もしかしたら「藍染明王」でしょうか?
染めた作品がこちら。
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素晴らしいです。

伊藤さんの「いとう染工」に伝わる型紙の数々は素晴らしいです。
2015年に「創房荻須」さんで行われた「伊勢型紙展」の様子は、こちらで。

いつか、これらの型紙に、またお目に掛かりたいなあと思いました。
「人宿藍染工房」界隈での展示会が行われたら、うれしいなと思います。

それから、「藍畑」のお話。
静岡市葵区の丸子に畑を借りて、藍を育てているそうです。
そちらの「藍の観察日記」も楽しみです。

「人宿藍染工房」さん、これからもがんばってくださいね。

「人宿藍染工房」
住所:静岡市葵区人宿町2-6-5-1F
営業時間:9:00〜19:00
定休日:月曜日
TEL:080-2610-6572
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