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2020.1120(金)谷本進さんの、一人芝居 三部作 を観てきました。 [勝手に応援団]

2020年11月20日(金)19:30〜、静岡市民文化会館中ホールで、
先日、告知をさせていただいた「谷本進」さんの公演「一人芝居 三部作 」を、
「白子ノ劇場」の愛さんと一緒に、観てきました。
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またまた、コロナの感染が気になるようになってきたので、
検温、消毒、ソーシャルディスタンスに気をつかってました。

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【上演作品】
『俳優病 〜ACT or DIE〜』最新作:2020年
 谷本進。1972年静岡市出身。
 東京での劇団の活動休止を機に、一人芝居を開始。
 2008年 初演の『36』を皮切りに、
 全国のライブハウスなどで300ステージ以上を敢行。
 2013年に故郷静岡に戻り、俳優活動を休止。
 そして2020年、7年ぶりの本格復帰公演として、
 最新作を加えた一人芝居三部作を一挙上演!
 ……せざるをえなくなった。
 「俳優病」に罹ってしまったために−−。
 2020年、今回が初演となる最新作。

『ドッグウェーブ』初演:2011年
 その場所に、犬はいた。首輪をしつつ、野良犬だと言い張る。
 そこから動こうとはしない。
 彼は吠え続ける。あの日からずっと。
 もう、あの日に帰れないことをわかっていながら。
 吠えて、吠えて、吠えて、吠えて。2011年初演。
 東日本大震災直後に製作された問題作。

『36』初演:2008年
 2008年、谷本進36歳の誕生日イベントで初演。
 谷本進 × 刈馬カオスによる一人芝居第1作。
 36歳になった朝、目が覚めると、サラリーマンになっていた。

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告知記事でも、この記事でも、いただいた資料を基に
谷本進さんを紹介する記述を書いていますが、
少しお話をしたことがあるだけで、
「谷本進」さんのことをよく知らないままに、拝見しました。

この3部作を観終わったときに、なんと言っていいものか?
いつもなら、サラサラとアンケートに感想を書いたりするのですが、
この日は、何をどう書いたらいいか、自信がなくなってしまい、
ロビーでお客さまと歓談している谷本さんにご挨拶もしないで、
帰ってきてしまいました。

帰りの車で、愛さんと感想をぽつりぽつり話しながら、
それぞれに自分の感情を整理しながら、帰ってきました。

観劇した印象としては、
最後に観た作品『36』のインパクトが強くて、
その男のありようが、観ていてかなりつらいものだったので、
しんどくなってしまいました。

その芝居を観ていて思い浮かんだのが、息子の友人。
学校に行くことができにくい少年のこと。
前日から預かっていて、お泊まりした勢いで
翌日学校に行けるのではないか?と考えたのだけれど、
翌朝、朝ご飯を食べた後くらいから、だんだん動きが重くなって、
動けなくなって、結局その日は登校できなかった。
少年の苦しみ、心配する母親の気持ち、
こだわらずに友だちでいる息子、見守る母親(自分)、
当時のどうしていいかわからないもやもやがオーバーラップした。
その後、息子が家を出てから、
彼自身も学校に行きにくい状態になった期間があり、
離れていながら心配するという日々も思い出した。

舞台の男が、会社に行けないことを嘆き、
いいわけを考え、あがき続けている。
その様子が思い出した少年たちの様子と被って、
見ていると心配になり、どんどん切なくなってくる。
 36にもなって、どうするつもりなのよ!
 いや、こういう時は、否定しちゃダメなのよ。
 どういえばいいのかしら?
 どうアプローチしたらいいのか? 考えている…。
まるで自分が母親でもあるかのように、はらはらさせられ、
ものごとが解決に向かって進まないことに、疲れてしまった。

最後に、谷本さんは「全てはフィクションです」と言った。
なので、これはお話であるのだろうけれど、
なぜか、現在48歳の谷本さんが、このような状態で
困っているんだと思い込んでいる自分に気づく。
確かに、このお芝居の中の、過激的なシーンで、
会場には、仲間内とも思える笑いが起きていたけれど、
自分は、全然笑えなかった、笑う気になれなかった。
谷本さんのお芝居がリアルすぎて、
現実を観ているような気持ちになってしまったのか?
自分は頼まれてもいないのに、身につまされて、
困り果てている母親になってしまっていたと思う。

何でこんなにしんどい作品を作るんだろう?
この3つの作品は、シャウトする、叫ぶような、
感情をあらわにする表現が多い感じだった。
それでも、チームを作って、会場を借りて、
皆さんに観てもらおうと思うわけだから、
このしんどさを超えて、何かを伝えたい?
この思いに共有できる人もいる?
さらに、こういうことを理解できない人に、
こういうつらさがあることを知らせたいのか?
せめて、その先に少しでも光が見えたら…、
お話であると安心するのに…。

終演後に、アンケートを書くことができなかったけれど、
自分は書くことを仕事にしているわけだから、
このもやもやしている気持ちも形にした方がいいと思って、
ここに書いてみました。

震災後に生まれた『ドッグウェーブ』も
演じずにはいられない『俳優病 〜ACT or DIE〜』も、
演じることを開放した『谷本進』さんの、
演じることができる喜びと情熱、
生きていくことの苦悩を感じました。

これから、これらの作品をどのように再演していくのか?
または、あらたに、どのような作品が生まれるのか?
そして、これはお願いするつもりではないのですが、
これからは、きっとどこかで「コロナな時代」ゆえの作品も
生まれてくるのだろうなあと思います。
いや、むしろ、終焉までのストーリーが見えない「コロナ禍」、
ここにすでに生まれているドラマは数限りないだろう。
先が見えない世の中を進む私たちに、
いろいろな人生を提示してくれる演劇。
「コロナな時代」に、公演すること自体は難しいかもしれないが、
「コロナな時代」だからこそ、演劇は必要なのではないのか?
そんなところまで、思い至りました。

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そしてこれを、アンケートの感想の代わりとさせていただきます。
ありがとうございました。

「谷本進」さん、そして「team TANIMOTO」の皆さん、
無事に公演ができてよかったですね。
大変、お疲れ様でした。

2020年11月16日(月)静岡新聞の記事の写真も貼っておきます。
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