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【第1回】企業訪問 ”ちょっとお話聞かせてください” 「西光エンジニアリング株式会社」 [藤枝くらシェア&まなシェア]

2019年9月から「ふじえだICTコンソーシアム」のお仕事で、同団体の会員である企業を訪問して、代表者に創業時や事業発展に至るエピソードなどをお話いただき、それをまとめた「連載コラム 企業訪問”ちょっとお話聞かせてください”」を担当させていただきました。
その記事は、「ふじえだICTコンソーシアム」のサイトで連載されています。
藤枝くらシェアhttps://fujieda.kurashare.com/
 仕事を発注したい方と受注したい方をマッチングするクラウドソーシングサービスです。
まなシェアhttps://fujieda.manashare.net/
 イベント・セミナーや資格取得といったスキルアップを応援する情報から日々の暮らしの中で役立つ豆知識や明日誰かに話したくなるネタまで幅広い情報を提供しているサイトです。

許可を得て、自分の記録として「ごきげんぱらぽん3」でも、転記させていただきます。


第1回目は、「西光エンジニアリング株式会社」
代表取締役社長の「岡村邦康」さんにお話を伺いました。

1_0.jpg「まなシェア」では、その1その2その3その4に分けて書きましたが、こちらでは続けて読めるようにまとめました。

【創成期】
代表取締役の岡村邦康さんは、
製茶機械メーカーで設計・開発を担当していましたが、
1987年に起業。「西光エンジニアリング株式会社」を設立します。
最初は自動車関係の仕事もしましたが、
下請け企業のイメージは脱皮したいと考え、
技術力で勝負する機械の開発を始めました。
大部分の社員は技術職で構成。
マイクロビジネス型の地域企業として、
「地域の未来エンジン」を目指しています。
企業の体制は、企業組合型小規模企業集団の中心企業で、
参加している企業は、鉄鋼業、機械加工業、電装業、配管業など
多岐にわたる研究開発型集団です。
生産の体制は、初期投資を抑えて研究開発投資に集中できるように、
研究開発工場のみを持ち、製造工場を持たない
ファブレス型経営を目指しました。
「西光エンジニアリング株式会社」の起業からこれまでを「創成期」「成長期」「発展期」と分けて、詳しく紹介します。今回は「創成期」をお話しします。
*ファブレス型
ファブレス(fabless)は、工場(fabrication facility)を持たない(less)という意味。
つまり工場を持たないメーカーが、自社で企画、開発した商品の製造を
他社の生産工場に委託して、自社ブランドとして
販売を行うビジネスモデルのことです。

まず手がけたのは、起業前から念頭にあった
「麦茶焙煎機を含む麦茶製造プラント」と
「沖縄モズクの洗浄機を含む沖縄モズク維持加工プラント」です。
麦茶の焙煎技術は、高い専門性が必要で、
数値制御による無人運転も可能にしたので、高く評価されています。
株式会社伊藤園の「麦茶」やアサヒ飲料の「十六茶」の原料は
全てこの装置で焙煎しているそうです。
これらの企業のノウハウが集約された装置のため、
他への販売を控える状況になりました。
1989年には、日本紙管工業と連携して、「紙管用熱風乾燥機」を開発しました。
沖縄モズクに関しては、沖縄県の農林水産部と連携して調査したり、
現地の漁協や漁連などと協力して完成させました。
さらにモズクを乾燥させて販売するプラントも作りました。
1998年には、販売部門を分離して「株式会社沖友」を設立しました。
2001年には琉球大学工学部の講師も務め、その卒業生の多くは、
沖縄県内の行政機関などに就職しているので、
人的ネットワークができています。
沖縄モズクのプラントは沖縄県の漁業構造改善事業にハマり、
補助事業創成期の17年間で、必要な漁協には全て導入されました。
2002年には、「西光エンジニアリング」「沖友」の沖縄営業所を那覇市に開設。
災害時の危機管理として、会社の全データを沖縄銀行那覇支店の貸金庫に保管し、
各月ごとにデータ更新をしています。

【成長期-1】
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静岡県の「経営革新計画」の公的認定制度を活用して、
「マイクロ波加熱を併用するA・D(熱風や冷風乾燥)」技術を研究し、
「マイクロ波紙管乾燥機」「マイクロ波ホタテ貝柱乾燥機」
「マイクロ波モズク乾燥機」 などを開発しました。
九州工業大学との共同研究により、気流導入型の「マイクロ波減圧乾燥機」を
世界に先駆けて実用化しました。
「マイクロ波加熱を併用するA・D」の発展形である
「マイクロ波減圧乾燥機」の出現により、糖度の高い果実 や野菜を、
短時間で良質な乾物に乾燥することができるようになり、
無添加乾燥商品「スゴカン」が生まれました。
2011年からは、社内に実験機や委託加工を受託できる大型機を整備できたので、
多くの展示会に出展し、 開発した乾燥機の説明パネルと、
新感覚のドライフードの乾燥サンプルを展示し、
乾燥機の販売や乾燥試験など のPRをしました。
そのおかげで、全国の農商工連携や6次産業化を目指すところから、
試験依頼や商品作りの問い合わせが続いています。
「マイクロ波加熱を併用するA・D」は、食品の乾燥からスタートしましたが、
その後、ソフトカプセル等医薬品の乾燥、
ゴルフボールの芯等スポーツ用具の乾燥、
燃料電池に使用する触媒原料の 乾燥・焼成など、
効果を発揮する分野を拡大し、ニッチ業界の新たな専用乾燥機の分野を確立しました。

2017年12月1日(金)に、
BiVi藤枝1F の静岡産業大学藤枝駅前キャンパス大学講義室にて行われた
「平成29年度 藤枝市農工商連携・6次産業化推進ネットワーク
 学びと出会いの交流会」に出店した時の様子
くわしくは、こちらで。
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「キムチチップス」
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ドライフルーツの「sugokan(スゴカン)」 静岡県産のみかんとフィリピン産のバナナ
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【成長期ー2】
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上記の図は、公的認定制度の認定を受けた複数の事業を
一元化して推進しているネットワーク図です。
2008年に、新連携事業計画のコア企業である「西光エンジニアリング株式会社」
および系列の「株式会社沖友」を本土拠点とし、
連携企業である沖縄県の「沖縄漁業協同組合連合会」および
自社「沖縄営業所」、大阪府の「日本紙管工業株式会社」、
北海道の「株式会社しんや」が各地の拠点となって、構築されました。
2009年以降に始めた「宮古島漁協との農商工連携」
「静岡空港就航先である札幌市の企業との連携事業」
「北海道恵庭市の余湖農園との農商工連携基金」
「藤枝市と恵庭市との販路開拓事業」など、遠隔地との連携事業は、
全て、このネットワークを活用して行われているもので、
リノベーションの販路開拓に活用されています。
2019年5月の時点で、23の企業・団体と連携しています。
静岡県内に本社・工場を持つ「西光エンジニアリング株式会社」にとって、
全国展開するための最大 の障壁は、東海・東南海・南海地震への対応です。
2013年に、「BCP(事業継続計画)」を策定するとともに、
静岡県信用保証協会から「BCP特別保証」の内定を受けました。
それにより、本社・工場が大破して人大災害に指定された場合でも、
復旧資金や当面の運転資金を確保する 裏付けを得られました。
さらに、北海道旭川市の「株式会社エフ・イー」と
「業務提携契約書」および 「災害時における相互応援協定書」からなる
「BCP契約」を取り交わしました。
平時には、相互に代理 店として、製品の販売・共同研究などを行い、
災害時には、相互応援協定・バックアップ生産の拠点なることを約束したものです。
*BCP
Business Continuity Planの略。
緊急時企業存続計画または事業継続計画のこと。
企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、
事業資産の損害を最小限にとどめつつ、
中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、
平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、
手段などを取り決めておく計画のことです。

【発展期】
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「西光エンジニアリング株式会社」では、起業30年目となる2016年に、
「セルロースナノファイバー(CNF)」の実用化を掲げ、研究開発を開始し、
装置の開発・販路開拓・量産化の研究を進めています。
関連会社の「株式会社沖友」では、駿河湾深層水を活用した
宮古島産海ぶどうの中間養生と新たな流通を開拓しました。
2017年には、政府の内閣官房国土強靭化推進室が創設した
「国土強靭化貢献団体認証(レジリエンス認証)」を登録できました。
2019年には、先進的なBCPの取り組みをしている企業として、
いろいろな媒体に紹介されたり、全国の企業から相談されたりしています。
2019年には藤枝市農商工連携・6時産業化ネットワークメンバーと連携、
ふるさと名物応援宣言の「藤枝茶」を盛り上げる目的で、
「藤枝茶を何とかしようプロジェクト」設立準備会を開催。
今後が期待されています。

岡村さんは、「起業してから、やりたいことばかりをしていて楽しい。
連携しているところとは、お互いに 主従ではなく、常に対等にを目指す。
夢に向かって、地域に密着したエンジンになっていこう!」
と話してくださり、とても頼もしく思われました。

会社名:西光エンジニアリング株式会社(せいこうエンジニアリング)
住所: 426-0041 藤枝市高柳3丁目30−23
TEL: 054−636−0311(代)
FAX: 054−635−5005
MAIL: seiko-eng@kdf.biglobe.ne.jp
HP:  https://seikoeng.jp

余談ですが、この岡村さんへの取材をヒントに、
静岡リビング新聞社発行の「藤枝生活ガイドブック2020」で、
藤枝市の「友好都市・交流都市」を紹介するページを作りました。

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岡村さんが実践している「遠隔地との連携事業」は、
産業や経済だけでなく、災害時に大変心強いものです。
2020年、コロナ禍の時代には、
さらに、目に見えないものとも闘う?いや共存する?
新しい方法が必要になってきていますね。
あえて離れているから、協力できる。
何もないとき、平常時の関係性が大事だなとも思います。
実行されている方だから、説得力を感じました。
ありがとうございました!

【追記】
Facebookで知る人ぞ知る「たいちゃん、おはよう!シリーズ」でおなじみの、
富士市在住の「宮崎泰一」さんが、「藤枝おんぱく2019」のプログラムで
見学したことを教えてくださいました。
そのレポートは、こちら
「たいちゃん」くわしいレポート、ありがとうございました!
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