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【第13回】企業訪問 ”ちょっとお話聞かせてください” 「株式会社 佐藤工業所」 [藤枝くらシェア&まなシェア]

2019年9月から「ふじえだICTコンソーシアム」のお仕事で、同団体の会員である企業を訪問して、代表者に創業時や事業発展に至るエピソードなどをお話いただき、それをまとめた「連載コラム 企業訪問”ちょっとお話聞かせてください”」を担当させていただいています。

その記事は、「ふじえだICTコンソーシアム」のサイトの中で連載されています。
藤枝くらシェアhttps://fujieda.kurashare.com/
 仕事を発注したい方と受注したい方をマッチングするクラウドソーシングサービスです。
まなシェアhttps://fujieda.manashare.net/
 イベント・セミナーや資格取得といったスキルアップを応援する情報から日々の暮らしの中で役立つ豆知識や明日誰かに話したくなるネタまで幅広い情報を提供しているサイトです。
◎この記事は、こちらで読めます。

許可を得ましたので、「ごきげんぱらぽん3」でも記録できるように、
転記掲載、ご紹介させていただきます。

2020年(令和2年度)、6回目のご紹介
【第13回】は、「株式会社 佐藤工業所」
2代目「佐藤 輝男」さんにお話を伺いました。
公式サイトは、こちらです。

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■沿革

「株式会社 佐藤工業所」は、
初代の「佐藤 清喜智(せいきち)」さんが、3人の仲間たちと
「佐藤工業所」を創立したことに始まります。
それまでは、電柱のトランス
(柱上変圧器:配電用変電所から送られてくる6,600ボルトの電気を
100ボルト・200ボルトの電圧に変える装置)の修理等をしていました。

日本経済に復興の兆しが見え始めた1954(昭和29)年、
大きな建造物が造られる時代を迎え、「大同コンクリート工業 株式会社」の依頼で、
土木・建築構造物を支える基礎杭「コンクリートパイル」の薄母型の製作を皮切りに、
型枠専門メーカーの第一歩を踏み出しました。

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初代「佐藤清喜智」さんと仲間たち

1957(昭和32)年 「清喜智」さんの方針
「常に顧客の要求を察知し、これに応え、良い物を安く、期待どおりに納める」のもと、
事業は着実に発展し、静岡市中野新田に新工場を建設し移転しました。

1960(昭和35)年 
資本金を200万円にし、法人組織化して「株式会社 佐藤工業所」を設立しました。

時代は、1964(昭和39)年に開催される「東京オリンピック」に向けて
期待にあふれていました。
東京・神奈川・千葉など都市周辺には団地を造る計画が広がり
それは工場で柱や壁を作り、現場に運んで組み立てるプレハブ方式でした。
そのためにコンクリートを流し込むための型を作り、
コンクリート会社に納める仕事をしていた同社は、忙しい毎日でした。

1974(昭和49)年 
現在地である岡部町に新工場を建設し移転しました。

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岡部町新工場

1976(昭和51)年 「輝男」さんが入社しました。

1984(昭和59)年 現在の工場敷地に、精密機械工場を新設し、
          CAD/CAMのシステムを導入しました。

1987(昭和62)年 「佐藤 輝男」さん、2代目代表取締役社長に就任しました。

【経営姿勢】は、尊い人命をあずかる商品の創出

1.社員とその家族の生活をより豊かにする
2.関心と行動(考動)の焦点を未来に合わせ
3.市場とお客様の要求の変化に対して、絶えず構造的改革を行い
4.高収益を確保できる事業構造をつくり
5.我が社を永久に存続発展させ
6.お客様に満足していただける企業にする。


これまでの主な建築物の事例は、

・新宿区:東京都庁の外壁
・静岡市:パルシェ/ホテル アソシアのターミナル/県立総合病院
・御前崎市:静岡カントリー浜岡コースのクラブハウス
その後は、道路、鉄道、橋桁、トンネル、地下トンネルなどの土木事業が主になりました。

1994(平成6)年10月 現在地に新社屋が完成しました。

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新社屋 完成

1998(平成10)年 水処理に関する研究開発を始めました。

2003(平成15)年7月 現在の工場敷地にレーザー機械棟を増設しました。

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左から、「レーザー機械棟」「精密機械棟」

2012(平成24)年、公益財団法人「静岡県産業振興財団」が公募した新成長産業戦略的育成事業で、「試作・実証試験助成事業」に応募しました。

2013(平成25)年、公益財団法人「静岡県産業振興財団」が公募した新成長産業戦略的育成事業で、「新エネルギー活用研究開発助成事業」に応募しました。

「経済産業省中小企業庁」が公募した「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金」に応募しました。

静岡県中部地域の金属関連業界が、地元商工会議所や金融機関の支援を受けて、
「小水力発電」の機器開発を行う「静岡中部金属開発協同組合(SMDJ)」を設立しました。


■実績紹介

「株式会社 佐藤工業所」が作っている「型枠」を使ってできるものは、どんなものがあるのでしょうか?

それは道路、鉄道、橋桁、トンネルなど、全国の公共工事に関わっています。
同社が手がけた鋼製型枠、建設用機材・工業用機械装置部品などをご紹介します。


枕木

鉄道の線路は、敷かれた砂利の上に枕木が置かれ、その上にレールが固定されています。
それを「バラスト軌道」といいます。

従来は木製の枕木でしたが、経年により腐食や劣化があるので、
近年では傷みにくいコンクリート製の「枕木」が使われます。
軌道の下部・道床には、砂利が敷き詰められていますが、日々の列車走行により劣化するので、
定期的に道床の砂利の交換が必要です。

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枕木の型

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コンクリートの枕木


軌道スラブ

線路の道床の手入れが大変なので、山陽新幹線のころからは、
コンクリート路盤上に「軌道スラブ」と呼ばれるコンクリート製の板を設置し、
その上にレールを敷く構造が開発されました。

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軌道スラブの型

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軌道スラブ


セグメント

トンネルや地下設備などに使われるコンクリート製壁面ブロックは、
RC(鉄筋コンクリート)セグメントと呼ばれています。
セグメントの言葉の意味は「一つのものを分割した一部分」で、
工場で生産されたセグメントを現場で組み立てて造られます。

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9.セグメント型枠.jpg
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建設用機材 可撓(かとう)セグメント

海底トンネルを造る場合は、海底面下の柔らかいところもある地盤を、
シールドマシンという鋼でできている円筒状の機械で横穴式に掘り進みます。

「シールド」とは「楯:守り防ぐ」という意味で、掘られたトンネル内では、
鉄筋コンクリート製のセグメントが組み立てられ、防水シートも使って海水の浸入を防ぎ、
トンネルの壁をゴムでつないで地震にも強い海底トンネルができあがります。
底に使われるものを「可撓セグメント」といいます。

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可撓セグメント製作中

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可撓セグメント平組

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可撓セグメント


主な実績例

1994(平成6)年  
 東京湾アクアライン 工事RCセグメント型枠 納入
 東京湾アクアライン 可撓セグメント 納入

13.東京湾アクアライン可撓セグメント.jpg
 東京湾アクアライン可撓セグメント

2001〜2008(平成13〜20)年
 九州新幹線 軌道スラブ型枠 納入

2002(平成14)年  
台湾新幹線 軌道スラブ型枠・枕木型枠 納入
 
2005〜2007(平成17〜19)年
 東北新幹線 軌道スラブ型枠 納入
 
2007(平成19)年
 名古屋地下鉄 セグメント型枠 納入
 
2008(平成20)年
 中央環状品川線(北行) 工事セグメント型枠 納入
 東京電力(株)柏崎発電所 セグメント型枠 納入
 
2009(平成21)年
 東京国際空港D滑走路  PC床版、誘導路型枠 納入 
 中央環状品川線(北行) 工事セグメント型枠 納入
 東海道新幹線 枕木型枠 納入

2010〜2013(平成22〜25)年
 北陸新幹線 軌道スラブ型枠 納入

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北陸新幹線

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軌道スラブ

2011(平成23)年
 東京湾トンネル セグメント型枠 納入
 北海道新幹線 軌道スラブ型枠 納入
 隅田川幹線工事 セグメント型枠 納入
 
2013(平成25)年
 トルコユーラシアトンネル 可撓セグメント 納入
 
2014(平成26)年
 石狩方水路トンネル セグメント型枠 納入
 東京外郭環状線(南行) セグメント型枠 納入
 
2015(平成27)年
 東京港トンネル 可撓セグメント 納入
 相鉄、東急、新横浜トンネル セグメント型枠 納入
 
2016(平成28)年
 ホーチミン市都市計画鉄道 枕木型枠 納入
 
2017(平成29)年
 中央自動車 PC床版型枠 納入
 
2018(平成30 )年
 長崎新幹線(大村〜長崎) 軌道スラブ型枠 納入
 八王子南バイパス 可撓セグメント 納入


■再生可能エネルギーを活用できる「小水力発電」装置

2013年に、地元商工会議所や金融機関の支援を受けて設立された
「静岡中部金属開発協同組合(SMDJ)」では、
「小水力発電」の機器の開発を行っています。

SDGs(持続可能な開発目標)の制定と、頻繁に起こる異常気象による災害により、
今以上に再生可能エネルギーを活用しようという動きが始まっています。

大規模な設備等が不要な発電容量200kW未満の「小水力発電」では、
農業用水や小さな川でも必要条件を満たす事ができるため、
採算性の高い場所で小水力発電事業を行うことで、初期投資の調達が期待でき、
地元の活性化に役立てることができる可能性が高まりました。

「SMDJ」では、小水力発電の機器開発を通して地域に貢献し、
そして静岡県内だけでなく県外にも広げていくことが目標です。

いろいろな機種一覧は、こちら

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小水力発電機

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小水力発電


■求人情報

「株式会社 佐藤工業所」では、毎年、高校・大学の新卒の採用を行っています。
詳細は、こちら

同社では、失敗やミスに対しての罰則は与えない仕組みになっています。
失敗やミスは隠さないで報告し、社内の不良・無駄を発見することで、
改善・提案・挑戦することができると考え、
「失敗の発見」の目標値を設定しています。

失敗を踏まえて、どういうやり方が良いのかを考えることで、
個人も会社も成長することができると考えています。

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■会社情報

■会社名:株式会社 佐藤工業所
■住所:藤枝市岡部町岡部1947-1
■TEL:054-667-1621
■FAX:054-667-2343
■MAIL:info@sato-kg.co.jp
■HP URL:https://www.sato-kg.co.jp

「株式会社 佐藤工業所」さん、最初お話をいただいたときには、
岡部町にある会社の前を通り、建物は見たことがあるけれど、
何を作っている会社でしょうか?見当もつきませんでした。
いざ、予習を始めても、「軌道スラブ」?「可撓セグメント」?
読めないし、何なのか???
調べていくうちに、工場内の現場を見学してみて、
お話を伺ってみて、少しずつ分かって来ました。
記事は長くなりましたが、「株式会社 佐藤工業所」さんについて、
ぱらぽんが理解できた(何となく想像できたものを含めて)内容を中心に、
ご紹介してみました。

余談ですが、NHKのドラマ「路(ルウ)〜台湾エクスプレス〜」
再放送を録画していたので、この話を佐藤さんに振ってみたところ、
フランスのシステムから、日本のシステムに移行するところとか、
その後の工事の大変さなど、いろいろなご苦労・思い出があるそうです。
実際、ご苦労の一部を伺ってから観たドラマは、
ストーリー以外の線路の下の軌道スラブなども気になって、
海の向こう、台湾の新幹線にも思いを馳せました。
日本全国だけでなく、ワールドワイドに大きな仕事をしている会社が、
藤枝市内にあるんだなあと、
あらためてこのインタビューのお仕事をさせていただいて、
よかったなあと思いました。

「連載コラム 企業訪問”ちょっとお話聞かせてください”」
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記事を選ぶのには、こちらからどうぞ。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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