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2017.1126(日)藤枝市郷土博物館 日本刀講座 第1回「歴史の中の日本刀」 [藤枝市郷土博物館・文学館]

2017年11月26日(日)14:00〜
藤枝市郷土博物館の「文学館 講座学習室」でおこなわれたのは、
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日本刀講座(3回シリーズ)の 第1回「歴史の中の日本刀」です。

講師を務めるのは、「日本美術刀剣保存協会 静岡支部」の
齊藤慎一先生です。
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まずは自己紹介。
そして、簡単な質問を。
(1)日本刀のイメージは?(参加者に聞く)
   きれい/軍刀、外が革製、人を斬っている、丈夫/
   伝統の技術/厳か

(2)ご自宅に日本刀がある方?
   数名手が上がりました。

(3)日本刀とはそりのある刀のことを言う。
   いつ頃からあるか?
   ①奈良時代 ②平安時代 ③鎌倉時代
   (正解 ②平安時代)

(4)日本刀は、武器でしょうか?美術品でしょうか?
   日本刀は武器であると同時に、美術品。
   日本の国宝は約1100点あり、そのうち110点が日本刀。
   陶磁器の国宝は、日本で作られたものが、5点。
   中国や朝鮮から渡来したものは、9点で、合計が14点。
   武器で国宝になっているのは、日本刀のみ。槍も銃も、国宝はなし。

1.「時代による日本刀の姿」
日本刀の姿や反り格好は、制作された時代で変化しています。
だから、その姿で作られた時代が分かります。
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右から、順に①〜⑧です。
齊藤先生の解説文を引用させていただきます。
メモを加筆してあるところもあります。

①鎌倉時代 初期
太刀は、やや細身小切先、腰反り高く、元には踏ん張りが強くつき、
先へ行ってうつ向き心となる。先が伏心。
寸法は、2尺5寸〜7寸くらいで、多くは後世、
磨上げられ生ぶ姿のものは少ない。

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刀を示しながら、解説してくれました。

②鎌倉時代中期
太刀は中切先、猪首切先もあり、踏ん張りがある。
反りは中反りとなる者が多く、重ねが厚くなる。
2尺5寸くらい。

③南北朝時代
太刀は大切先、身幅が広く、重ねが薄く、多くは3尺前後の大太刀となる。
ほとんどが後世、磨り上げられ、生ぶ姿のものは非常に少ない。
野太刀 担いだ。戦闘用。

④室町時代 前期
太刀は中切先、腰反り、中反りとなり鎌倉中期〜末期の姿に似ている。
打ち刀が現れ、先反りがつく。
脇差が多くなり、鎬造りと平造りの両方がある。

応仁の乱(1467~1477)11年間の戦いで、
足軽を使った戦闘の仕方により、刀の形状も変化した。

⑤室町時代後期
太刀はほとんどなくなり、先反りが付く。
打刀は棟を大きく卸して、鎬が高い。
文明、永正頃は、2尺1寸〜2寸くらいの刀が多く、
永禄、天正頃になると2尺3寸、4寸と延びたものが多くなる。
片手で。片手打ち。南北朝時代の刀をお手本に。

⑥桃山時代
刀は中切先、中切先が延びたもの等があり、身幅広く、重ねやや厚く、
浅く反り、南北朝時代の大磨上げの姿であるため、踏ん張りが感じられない。

⑦江戸時代初期
寛文、延宝頃の刀は、中切先で元幅が広く、先幅が狭くなる。
反りは浅いものが多く、中には棒状のものがある。
元禄になると身幅がやや細めで反りが高めのものがある。
戦いが少なくなり、突くようになった。

⑧江戸時代末期
刀は身幅が広く、重ねが厚く、中切先延びるものが多い。
反りはやや付くもの浅いものがあり、桃山時代のものに似て長く、
がっちりとして実践的な感がある。

武家諸法度の決まりで長さが決められたので、
長いものは、磨り上げて、短くした。

刀工は世襲制。
戦国時代は、粗製乱造で、足軽が使っていたようなものは、残っていない。

2.名刀とは?(名刀の条件)
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品格がある刀を名刀と言います。品格とは、美しいかどうか。
折れず曲がらずよく切れる(機能性)
姿、地鉄、刃文などの美しさ(美術性)
気高い(精神性)

名刀は、ご神体などと言われ、宝物とした扱われたり、
献上品や贈答品として贈られたり、
権力の象徴として、収集されたり、大切に保管されたりしてきた。
→使ってないので、残っている。

刀剣の彫り物
梵字
武運長久
南妙法蓮華経
不動明王
武将は、刀に魂を預けた、神聖化した。

3.日本刀の見方、楽しみ方
日本刀の見方にも作法がある。
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①姿で、作られた時代を見る。鎺(はばき)を水平にして。
・長さ
・反り:鋒(きっさき)から棟区(むなまち)を結んだ部分と刀身との距離
 先反り/中反り/腰反り
・身幅
・厚み(重ね)
・造込
 鎬造(しのぎづくり)/平造/菖蒲造/鵜の首造/片切刃造
・彫物
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②地鉄(じがね:原料の砂鉄)で作った国(五ヶ伝)を見分ける
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・五ヶ伝
 大和伝/山城伝/備前伝/相州伝/美濃伝

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・主な地鉄の種類
 綾杉肌/杢目肌/板目肌/柾目肌

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 板目/正目/木目/沸(にえ)/匂い/映り

③「刃文」と「刃の働き」を見る=刀工を絞り込む。
刃文とは、刀と地の境の文様。
焼き入れの方法により、様々な文様が現れ、多くの種類がある。
刃文は、直刃(すぐは)と乱刃(みだれば)に大別されます。
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・直刃
・乱刃 
  丁子/逆丁子/重花丁子/互の目/皆焼(ひたつら)
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④茎(なかご)を見る
 銘/鑢目(やすりめ)/さび色/目釘穴の数/長さ/厚み/茎尻(なかごじり)の形など
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⑤よくある質問
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その答え
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齊藤先生は、藤枝市在住で、文化財とも言うべき刀を
たくさんお持ちです。
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本物をたくさんお持ちくださいました。
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皆さんが手に持ってみられるようにしてくださいました。
真剣は意外に重いです。

齊藤慎一先生、ありがとうございました。

藤枝市郷土博物館開館30周年記念 特別展「静岡ゆかりの名刀」
見どころは?

1.五ヶ伝の名刀 1000万円クラスだそうです!
①重要刀剣 備前伝 鎌倉時代
  太刀 銘:備前国長船住左馬允真守(びぜんのくにおさふねじゅうさまのすけさねもり)
②重要刀剣 山城伝 鎌倉時代
  太刀 銘:来國(以下切)来國次(らいくにつぐ)
③大和伝 鎌倉時代
  刀 無銘:当麻(たいま)
④相州伝 鎌倉時代
 刀 無銘:長谷部(はせべ)
⑤美濃伝 室町時代
  脇差 銘:兼定(のさだ)

2.静岡の刀工が鍛えた刀
・島田鍛冶 義助、助宗、広助、元助など
・高天神鍛冶 高天神兼明

3.静岡ゆかりの名刀
・大村加卜の刀(備前伝、相州伝)6振
・南紀重国の刀(大和伝)2振
・牧之原開墾の奉行 服部長顕所持の大小

4.刀装具の美
三処物(みどころもの)
小柄(こづか)
笄(こうがい)
目貫(めぬき)
鐔(つば)
など、後藤家の名品、粋なデザインの透鐔など

藤枝市郷土博物館 開館30周年記念 特別展「静岡ゆかりの名刀」
2017年11月3日(金・祝)〜12月17日(日)
9:00〜17:00(月曜休館日)
藤枝市郷土博物館・文学館(藤枝市若王子500 蓮華寺池公園内)
TEL 054−645−1100

人気の「日本刀講座(3回シリーズ)」
第1回「歴史のなかの日本刀」 講師/齊藤慎一氏
11月26日(日曜日) 14時~15時30分

第2回「日本刀ができるまで」 講師/現代刀匠・内田義基氏
12月2日 (土曜日) 14時~15時30分

第3回「日本刀の研磨とその魅力」 講師/刀研師・萩光明氏
12月10日(日曜日) 14時~15時30分
*刀研師 萩光明先生の講座は、まだ参加することが可能です。
興味を持たれた方は、下記にお申し込みください!

ところ/文学館 講座学習室
定員/80名
受講料/大人300円・中学生以下100円
申込み/藤枝市郷土博物館へ
・TEL/054−645−1100
・FAX/054−644−8514
・Email/muse@city.fujieda.shizuoka.jp

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